さあみんな目を覚まそう! 映画「ポバティー・インク」を観て

 以前から気になっていた映画、「ポバティー・インク」を観てきた。

現代世界には、数多くの戦争や民族対立、戦争とまでいえないかもしれないが、それに近い紛争、自然災害などが至る所で起きている。日々それらの事象により人々が命を落とし、一方では私たちはほとんdのそういうことも意識せずに、普通に暮らしている。そう、まったく平穏に、まるで戦争で死んでいる人などいないかのように。そして、戦争状態にある地域で起きていることは、自分たちには全く関係がないかのように・・・。

 しかしそうだろうか。いや、結論から言えば、私たちの暮らしや意識と、世界各地で起きている悲劇とは、密接に関係している。そういうことを普段はほとんど忘れていることが多いのだが、この映画を観て、改めてそのことを再認識した。そして、忘れていることもある自分に恥じ入った。
 
 映画の中では、アフリカのケニアでの取材映像、その他の国々(タンザニア、ガーナ、セネガル、ルワンダなど)の起業家らのインタビュー、ハイチの現実、現地企業家や海外NGO関係者らへのインタビュー、また欧米の専門家らのインタビュー、セレブの活動の検証、是非などなど、多様な内容、多彩な人物の発言、ハイチ、ケニアの現実の一端などがテンポ良い映像と共に訴えかけ、90分の時間があっという間に過ぎていく。現実には、この映画に出てこなかったアフリカ、中東、ラテンアメリカなどの出来事、紹介すべきことがたくさんあるのだが、それはなかなか難しいことでもあり、映画としてまとめるなかで、非常に良く出来たドキュメンタリーだと感じた。
 元々、今発展途上国と言われている地域や貧困にあると言われている人々(あるいは彼ら、彼女たちの共同体)は、最初からそうだったわけではない。元をたどれば、たとえば18世紀以来の植民地化の過程で、自分たちの歴史や文化、農地、あらゆるモノを搾取され、大勢の人々を殺され、欧米の言うがままに(欧米の言うことを聞く指導者たちの元で)国を作らされ、経済をコントロールされ、国境を勝手に決められ・・・・、そういった文脈の流れの中に、戦争や飢餓なども位置づけられ、また災害が起きたときに、緊急支援を受けることにより、それが一時的な支援に終わらずに、いつのまにか支援されることが日常と化し、元々の暮らしや文化が破壊されていく、そして海外からの支援なしではやっていけなくなる。こういったことが、今の世界各地では起きている。
 そして、この負の連鎖を一刻も早く断ち切らねばならないのだが、利権の中で甘い汁を吸い続けることを望む旧態依然とした世界システム、それらと結託する各国の指導者たち、もっともらしく支援を訴え、悲惨さを煽る国連機関やNGO。こういった枠組みを破壊していかなければ、世界の多くの人たちは、未来永劫搾取され、二級市民のままで暮らすことになる。そして、こういった枠組みを維持することに、多くのセレブといわれる人たちも荷担しているという現実。
 私も、20年にわたって、アフリカや中東、その他の戦場も含めて、あらゆる不正な現場を見てきた。それは、この映画に出てくる現実とまったく変わらない。場所や時代が少し変わっても、世界の先進国と称する国々や世界経済を牛耳るIMF(国際通貨基金)やWorld Bank, UN各機関、幾多のNGO・・・、これらがやっていること、その思惑は変わっていない。彼らが考えていることは、現状維持か、あるいは状況を悪くすることだ(彼らは決してそうは言わないが)。そうすることによって、彼らはいつまでも食っていける。利益を上げ続け、良い暮らしが出来る(映画の中でも、いみじくも正直に言っている専門家がいたが)。
 「変化のないのには理由がある。変化によって損をするのが強者であり、恩恵を受けるのが弱者だからだ」

 奇しくもマキャベリのこんな言葉から始まるが、これはまさに現代世界の状況にもぴったりと当てはまる言葉だ。そして私たちは、弱者と言われている人たち(世界の多くを占める、普通の人たちだ)が自らの尊厳を取り戻し、自分たちの未来を自分たちで決めることが出来る社会、少しでも公正に近い社会を実現するために、そのためのアクションに加担していかねばならないだろう。なぜなら、私たち日本人も、先進国と言われる国に暮らし、自分たちが何か優れていて、アフリカや中東の紛争地に暮らす人たちや難民となった人たちより上だと意味もなく思っている人たちも多い。つまり、私たちは、ポバティー・インクにおいて、世界の多くの人たちの貧困状態を維持することに加担しているのだ。
 まずはこの映画を観てほしい。そして、よく考えて、自らのアクションを考えて欲しい。この映画に出てくる光景、行われていること、これらは間違いなく真実だ。実際に数十の国や地域での現実を観てきた私が観て、そう断言する。だから、今までは、漫然と何かいいこと、役に立つことに使われるのかなと思い、何となく寄付をしてきた人たちも多いとは思うが、その行為を今一度見直して欲しい。そして、どうしても寄付をしたいのであれば、寄付先に、具体的にどういった支援をして、どんな成果が上がっているのか。根掘り葉掘り聞いて欲しい。もっといえば、そういった現場にぜひ行って欲しい。
 よほど危険な紛争地でない限り、大抵は誰でも行くことが出来る。場合によっては、私自身がそういったツアーを企画しようかと思っている。そういった現場を数多く見てきたけれど、実質的にはほとんど何も出来てこなかった自分としても、今からでも意味のあることをやりたいと、改めて思ったからだ。
 とにかく、まずは映画を見ることから始めてほしい。


http://unitedpeople.jp/povertyinc/

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by shmurat | 2016-09-01 22:01 | 映画 | Comments(0)