オバマ大統領の広島訪問、そのスピーチ、そこから思いを馳せる世界のこと

 米国のオバマ大統領が、5月27日夕刻広島を訪れた。
現職の米国大統領としては初の訪問である。原爆慰霊碑に献花、また所感を述べたことは、一定の評価はできるのだろう。しかし、自らの責任を認めず、現在世界で自らが行っている幾多の犯罪にも言及せず、いくぶん華美にすぎるきらいのある表現で述べた言葉に、私は何の感銘も受けなかったし、その文学的ともいえる表現とは裏腹に、それは米国という国家の冷酷無比であり、自ら世界を主導していこうという思い上がった理念の再確認の所感に過ぎなかったということであり、そのことを再確認した訪問だった。
 その辺にまったく思い至ることなく、過度に感激したり、評価したり、まるで戦後が終わったかのごとく語る大手メディアや評論家やその他多くの人々。いったいこの国の人々はどうしてしまったのか。米国大統領が、純粋に人道的な思いで広島を訪問したとでも思っているのか。そんなことがあるはずもない。今現在この瞬間にも、中東で、アフリカで、南アジアで、罪のない人々を殺している国家の長が、どんな人道目的、どんな平和への思い、世界の子供たち、光溢れる未来への思いを語れるのか。
 その辺のことに少しでも多くの人が気がつくべきであり、決して忘れてはいけないと思う。
大統領の所感のはじめの数行だけで、この国の誠意のなさ、冷酷無比さ、そして計算高さがにじみ出ている。
主語をはぐらかし、まるで自然現象かなにかで「空から死が降ってきて云々」、そして街を破壊したといいながら、そこで殺された人々への言及はない。
 恐ろしい力が・・・解き放たれた・・・、というが、解き放ったのは米国指導部であり、それは冷酷な計算の元に為されたにもかかわらず、それにも言及がない。

 謝罪を求めない、許すことが大事で、共に手を取り合って未来へと歩んでいく云々。 そういうことを言う人が多い。もちろん、許すことはとても大切だが、前提条件がある。加害者が、自らの罪を認め、自然な感情として謝罪し、そして被害者は相手を許し、ともに相手を信頼し、兄弟として未来へと協働していく。そういうことが正しいあり方だろう。
 いつまでも過去の被害にこだわったりしているのは建設的ではないかもしれない。しかし、一言でいいのだ、何故謝罪できないのか。これは、こちらが求めることではない。罪を悔い改める人間はまず謝罪するべきなのだ。キリスト教の価値観でもそれが正しい道だと私は思う。
 謝罪しないのは、それが出来ないからだと私は思う。今でさえ、多くの人たちを殺し続けている国が、過去のこととはいえ、非を認めることなど出来るはずがないのだ。
 オバマ米国大統領の」所感は、最後まで論点を逸らし、確信からは遠ざかる一方だ。
幾多の罪に塗れる国にとっては、それしか方法がないのだ。日本にとっては、70年前が大きな殺戮の最後だったし、それは記憶の遙か彼方の出来事でもあるだろう。しかし米国にとっては、殺戮は現在進行形である。2003年以来のイラクで数十万の人々を殺し、いまでも国を混乱に陥れている。シリアでもそうだ。アフリカのソマリアなどでもそうだし、いくつかのラテンアメリカの国しかり、米国はまさに悪魔のごとくである。
 
 今回のオバマの訪問を受けて、私の頭はまだ混乱している。
米国大統領の所感は、ある程度予測は出来たからいい。しかし、この日本人たちの飼い犬が主人にじゃれるような反応はどうだ。こういう対応が正しいのだろうか。もしかしたら、私が頭が悪いのか、あるいは考え方が古いのか。いずれにしても、今この国に起きている反応の多くは、私には理解できないし、感覚的に嫌悪を催すものである。
 日本の過去の犯罪のことと重ね合わせる論説もある。もちろん、日本は自らの過去に向き合い、しっかりと謝罪をするべきだと思う。しかし、対アジアの問題と、対米国の問題とは、混同するべきではないし、別々の対応をするべきであり、そのへんは冷静に判断しなければならないだろう。
 
 最後に、私は平和がなによりも尊いと考えているし、そのためには米国とでも信頼関係を築き、ともに未来志向の関係を築いていくことが正しいと思っている。しかし、だからこそ、米国政府の誠意を見たいし、彼らが信頼に足るのかどうか、確信を得たいと思っているのだ。
 日本にとっては、さまざまに厳しい情勢がこれからも続くと思う。そして、そういうなかで大切なのは、冷静に見通す心と自分たちの進むべき道を誤らないこと。今の政治が、あまりにも情けなく、また信頼するにあたらないのだから、なおさら一人一人がしっかりと目を見開き、流されないようにしなければならないだろう。時間は無尽蔵にはないし、決して私たちを待っていてはくれないのだから。




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Commented by Toshirou Maruyama at 2016-05-30 09:21 x
強く同感します。オバマとアベは言葉を操り人々を現実から遠ざける詐欺師です。原爆投下の責任を曖昧にして免罪し、核廃絶の努力をしていると口先で言いながら、小型の核兵器を開発し、あくまで核使用を前提にした世界支配を続けるオバマ、一方非核三原則を口にしながら、自衛のための核開発は憲法に抵触しないと言い張るアベ。この腹黒さが民衆には見抜けない。核廃絶を遠い未来に押しやる戦略だ。これらすべてアメリカの戦争ビジネスの利益が狙いであることは明らかだ。アベとオバマの目くらましに負けずに民衆は目をさまそう。とりあえずは憲法を守る政党の勝利を参議院選挙で勝ちとろう。
Commented by shmurat at 2016-06-01 11:05
オバマ大統領や我が国の首相は表向きの顔で、真の権力者(あるいはシステム)は裏で操っているのですね。政治家というのは、つまり彼らのようになるということなのかなと思います。だからこそ、私たちが時流に流されずに真実を見据えていくことが大切かと思います。
by shmurat | 2016-05-29 14:20 | 今の世界を考える | Comments(2)