英国で起きたことから思うこと 感じたこと

昨日英国マンチェスターで、また自爆があった。
米国歌手のコンサートに来ていた若者を中心に、20人以上が亡くなり、多数の負傷者も出ているようだ。

こういう事が起きると、いつも人々の愛国心を燃え上がらせるような報道が多くなり、また「テロ」現場で果敢に振る舞った英雄のストーリーが取りあげられ、起きた国の団結が強まり(それがアピールされ)、また政府が「卑劣なテロリストが無辜の市民たちを殺傷したテロが云々・・・」という話をし、当然のようにたとえば、シリアやイラクでの「対テロ作戦」が強化されていく。また、現在の欧州の状況からいうと、難民締め付けが強まり、また難民の追放という措置もより強まっていくのだろう。
 
 また、日本の大手メディアの報道をみていても、何故こんなことが起きるのか、のような論調が目立つが、起きる理由など一目瞭然ではないのか。欧米諸国が、たとえば18世紀ころからアラブ世界やアフリカへの侵略と資源収奪、住民たちの奴隷化、その過程での多数の現地の人々に対する大虐殺などを繰り返し、今でもそれを続けている。
 それに対して、誰も声を上げない現実があり、そういうことに対しての怒りやフラストレーションの高まりがあり、そういうことが今回のような事件へと繋がっている。
 逆にいえば、欧米諸国が、過去の清算をしっかりと行い、また現在の中東への侵略、収奪を止め、謝罪すれば、いわゆる「テロ」などすぐになくなるだろう。
 欧米などで、「無辜の市民」が一人でも殺されると、大騒ぎになるが、毎日シリアやイラク、イエメンなどでは、女性や子供、老人たちが殺され(欧米の攻撃の直接の死者たちも多い)ているが、それに対しては、それほど声を上げる人もいないようだ。ところが、目の前で8歳の女の子(自国民)が殺されると、ヒステリーを起こす。大いなる想像力の欠如、あるいは人種差別からくる命の値段の違いだろうか。シリアでは、この6年でおそらく30万人からの人々が殺されている。多くは、普通の市民たちだ(私にいわせれば、武器を持っている人たちも市民だが)。
 この辺のダブルスタンダードに騙されてはいけない。何故こういうことが起きるのかは明らかだ。テロを行っているのは、米国、英国、フランス、ロシア、これらの国々であり、それは利権の為であろう。
 英国の人々は、政府や米国などのレトリックに騙されず、事実を直視しなければならないだろう。そして、糾弾すべきは、「テロリスト」ではなく、自分たちの政府であり、政治家たちなのだ。
 今のような対応に終始するならば、またこのような事件は起きるし、より多くの欧米の市民たちが死ぬことになる。そして、欧米に盲目的に追随している日本にも、いつテロが起きてもおかしくないということになる。
 今の日本に必要なのは、「共謀罪」を作ることではない。監視カメラを全国に設置することでも、空港セキュリティーをより強化することでもない。欧米追従をやめること。そして、独自の外交を展開していくことだろう。残念ながら、そんなことが出来そうな気はまったくしないが。
 そして、今回の事件を起こした方にも、もちろん問題がある。彼らの気持ちはよくわかるが、逆効果になることもまたよくわかるはずだ。欧米が力で対抗することは明らかであり、そうすればまた多くの市民が死んでいくことになる。
 侵略者に対する戦いを、私は正当だと信じている。しかし、だとしたら、彼らは、市民を標的にしてはならない。ターゲットを軍や治安機関に絞るべきだ。そうすることにより、より多くの理解者も生まれるだろうし、そうすることによって、市民たちを守る事にも繋がると思う。

 私は、いままでの戦場取材で、多くのいわゆる「テロリスト」に会ってきている。そこからわかることはいろいろとあったが、ひとつはっきりといえるのは、彼らの多くは間違いなく私たちと同じ人間だということだ。どういう意味かというと、私たちと冷静に話しが出来、分別を持ち、そしてなによりも、家族を愛し、自分たちの土地や文化を愛し、生を渇望している人たちだということだ。
 そんな人がなぜあのような酷いことをするのか、と思うかもしれない。そのような人たちだからこそ、なのだと思う。そして、そんな純粋な気持ちにつけ込んでいるのが、宗教を歪曲した、しかしいっけんりっぱな宗教者にみえる人間たちであり、これがほんとうに邪悪な人間なのだ。
 こういう事態のなかで、一番悪いのは、いうまでもなく、大国の政治家たち、またアラブ世界の指導者たち(先に書いたブログで少し触れたとおりだ)だ。欧米で「テロリスト」と呼ばれる人間たちの葬儀にも、何度も出席したが、家族たちの落胆は目に余るほどであり、正視に耐えなかった。また、彼らの死を祭り上げる宗教者の熱狂もまた微妙な違和感を持って感じられた。政治家たちは、はっきり言えば、人非人である。大衆の前で意味のないフレーズを並べるのは、彼らのもっとも得意とすることである。私たちは、それに目をくらませられないように、常に目を開けて、しっかりと起きていることを直視していかなければ、私たちの生も、いつのまにか乗っ取られてしまうことになりかねない。
 報道を疑い、政治家を疑い、自分の感覚を信じること。そして、出来るならば、自分が直に経験し判断すること。
これからの世界を生きていくうえでは、それは必須のことなのかもしれない。


追記

 英国の新聞で、自爆した青年の姉妹がインタビューに答えている。
米国の攻撃で多くのシリアの無辜の人々(子供、女性、老人たち)が毎日殺されているのを見て、復讐したいと思っていた、などと答えている。これは、彼がテロリストだからとかではなく、ほとんどのシリアやイラク、そしてムスリムの人たちがいだく(あるいはいだいているであろう)当たり前の感覚だと思う。そして、純粋な青年たちをテロリストにしている、あるいはテロを扇動しているのは、米国やそれに追随する欧州や、米国の政策を支持する国々だといえる。もちろん、そこには日本も入っている、残念ながら。
想像力の問題でもある。考えてみて欲しい。もし自分の家族が殺され、姉妹がレイプされ、家土地が奪われ、すべての権利が奪われ、何の補償もされず、逃げた先でも受け入れられないようなことが日常的に起きていたとして、それでも自分は敵を憎まない、武器を取らない、といえるのか。その辺を熟慮したうえで、単細胞のように「テロは許せない」と言って、欧米や日本政府のやり方を支持するのか。
 政治家やメディアに惑わされず、自分でよく考えることがこれほど大事な時代も、かつてなかったかもしれない。





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Commented by noboru-xx at 2017-05-25 09:05
9.11のテロについて、なぜアメリカはテロを受けるのかという新聞記事を思い出しました。
そこには村田さんが述べていると同じようなことが書かれていました。
アベは、今回の英国でのテロを共謀罪成立の口実にしようとしていますね。

一方、幼子に自爆テロをさせることには深い悲しみと強い怒りを感じます。
Commented by shmurat at 2017-05-25 18:21
私も、以前から思っているのですが、どうしても各政府の対応、マスコミの報道含め納得出来ずにいます。残念ながら、安倍政権はこのような事態を利用しようとしていますね。やはり私たち個人個人がしっかりと自分で考えていかねばならないと思います。誰もが平和を望んでいるはずなのに、今の世界の現実は、悲しいことが多すぎますね。
by shmurat | 2017-05-24 20:58 | 今の世界を考える | Comments(2)